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偽性腸閉塞とミノサイクリン
齋藤 祐一郎
1
1市立岡崎病院消化器科
pp.268
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904076
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35歳時に発症した強皮症(PSS)の女性,肺線維症も合併している.40歳より腹部膨満感,食欲低下の症状があり,私のところに紹介されてきた.検査の結果,偽性腸閉塞に気腹を生じているものと判明.当初は,シサプリドの投与にて症状は軽快していたが,徐々に反応しなくなり,入院のうえIVHによる管理も必要なほどになった.絶食中は気腹もなく,腸管の拡張も消失するが,経口摂取を開始すると,症状は悪化し治療に抵抗していた.文献を調べてみると,ミノサイクリンを用いると効果がみられるとの記載があり,半信半疑で使用したところ,症状は劇的に改善し,点滴も必要なくなり,通院可能となった.体重も5kg増加した.ミノサイクリンが有効であったことには間違いなつが,作用機序は消化管ホルモンのレセプターに作用するとの記載があるものの,本当のところは不明である.さらに検討をしたいところではあるが,臨床病院の常として今日に至っている.
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