“ホッ”とspot
予想できなかった経過
斎藤 雄介
1
1さいとう内科・胃腸科
pp.262
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904073
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筆者が勤務医時代の頃の話です.胆石症,十二指腸潰瘍で以前通院していた45歳の女性が,6月26日付けの近医からの紹介状を持って,7月12日に約2年ぶりに筆者の外来を受診してきました.紹介状の内容は,「子宮筋腫と貧血がある.胃の調子が少し悪いとの訴えがあるので,胃の検査を」というものでした.患者の主訴は,「時々胃が痛む」というもの.顔色不良ですが,一般状態は比較的良好.当日の血液検査では,ヘモグロビン7.8の小球性低色素性貧血があるものの,生化学的にはTTT,ZTT,GOT,GPT,総ビリルビンなどすべて正常でした.7月23日に胃内視鏡を行い,十二指腸球部にH1 stageの潰瘍が認められました.腹部超音波検査では,小胆石多数と,胆嚢壁の軽度肥厚という検査報告を得ました.したがって,診断は①小球性低色素性貧血,②十二指腸潰瘍,③子宮筋腫,④胆石および慢性胆嚢炎と下して,ひと安心,内服薬を処方しました.以後,患者は受診せず.
ここまでお読みになって,読者の皆さんはこの患者のその後の経過を予想できますか?
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