対談 内科診療のあゆみ・5
神経疾患診療の基本と最近の進歩
黒岩 義之
1
,
尾形 悦郎
2
1横浜市立大学医学部神経内科
2癌研究会附属病院
pp.978-987
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902109
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尾形 私の個人的な経験ですが,neurologyといいますと,まず思い浮かぶのが豊倉康夫先生の大変meticulousな神経所見のとり方とinterpretationです.あの,診察技術とanatomyとを対比した,芸術ともいえる組み立てがまず頭に浮かぶのです.一方で,最近の医療機器の進歩によって,ちょっと意識障害のある患者,あるいはあった患者が来ると,すぐCTを撮ります.meticulousな神経所見をとる前にそういう検査をすぐやっています.それがいい悪いではなくて,そういう機器が導入されてからは,そのようにやらないと速やかな治療方針の決定もできない,と考える人が増えているように思います.
次に私が思い浮かべることは,先ほどの豊倉先生のmeticulousな診察に加えて,精細な文献的チェックです.その病気の原因が何であるかは別として,こういう疾患像があるということを神経内科では非常に明確にしていますね.これは何も豊倉先生だけではなくて,有名なneurologistは皆さん実に精密に患者の病態を記載しています.
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