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特集 整形外科
腰痛診断の基本と最近の進歩
Standards and Recent Advances in the Diagnostics of Low Back Pain
片岡 治
1
Osamu KATAOKA
1
1国立神戸病院整形外科
1Kobe National Hospital.
pp.621-627
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102434
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はじめに
頸,肩,腕に痛みや不定愁訴のあるものに対して“頸肩腕症候群”という用語があるように,腰痛に対しても,かつては腰痛症候群という名称があったほど,腰痛の原因が多元性であるために診断の困難なことが少なくない.もちろん,診断確定には,病歴,自覚症状,および神経学的所見を含めての他覚所見の把握が重要である.そして,X線撮影をはじめとする種々の検査法が実施されているし,非常に進歩した特殊な検査法も開発されている.
しかし,腰痛診断にあたっては,ややもすれば,X線写真で診断するという傾向がある.たとえば,脊椎分離症を発見すると腰痛の原因をこれに負わしたり,また,変形性脊椎症の変化をみれば,これが原因であると短絡する嫌いがある.
いかに最新の医療機器を駆使しての診断法が進歩しても,腰痛の診断で最も重要な点は,臨床症状および所見からの病態の把握であるのは永久に不変のものであり,これに補助診断法の進歩が上手くからみ合って,初めて的確な診断がえられるわけである.したがって,腰痛診断の最近の進歩を論ずる前に,まず,基本的診断法のポイントから述べよう.
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