今月の主題 よくわかる内分泌疾患
内分泌疾患のスクリーニング検査から鑑別診断まで
クッシング症候群を疑ったとき
田中 孝司
1
,
伊藤 祐子
1
,
長田 恵
1
,
清水 直容
1
1帝京大学医学部・第3内科
pp.1910-1914
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901214
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ポイント
1)Cushing症候群を疑った場合は簡便な迅速dexamethasone抑制試験(rapid DST)によるスクリーニングを積極的に行う.
2)1mgのdexamethasoneによるrapid DSTで抑制されても,臨床的にCushing症候群が疑われるときは,0.5mgのrapid DSTによるスクリーニングを行う.
3)Cushing症候群の病因鑑別のための負荷試験にはいずれも例外(非典型例)があるので,いくつかの負荷試験と画像診断を実施し,正確な診断を行う.
4)Cushing病では画像診断で下垂体腺腫を確認できない例が多く,また異所性ACTH産生腫瘍との鑑別困難例も稀ではない.このような例ではできるだけ下錐体静脈洞よりの選択的静脈採血を行う.
5)異所性ACTH(CRH)産生腫瘍では他の原因によるCushing症候群にみられる身体所見に乏しいことが多く,また予後不良なので,悪性腫瘍患者で低K血症,糖尿病,高血圧などが見られるときは積極的に検査を行い,すみやかに確定診断を行う.
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