増刊号 わかりやすいエコー法の臨床
心エコー法
疾患と心エコー図異常
特発性心筋症—肥大型
鈴木 修
1,2
1鈴木内科クリニック
2自治医科大学・臨床病理
pp.151-157
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901138
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心エコー法を用いて心疾患を系統的かつ的確に診断するためには,疾患の概念,病理形態学,病態生理学およびエコー法総論の十分な理解が必要と思われる.
肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopa-thy:HCM)とは,原因不明の非均等的な左室壁肥厚を呈し,左室内腔の狭小化を示す疾患である.本症では壁肥厚に加え,異常な心筋性状を有するため,生理学的には左室拡張障害を基本的病態とする.また本疾患の亜型として,左室の中部あるいは流出路において収縮期に閉塞をきたす群がある.さらに僧帽弁逆流を合併することも少なくない.一方,心エコー法には,断層法やカラードプラー法をはじめとして各種の手法がある.これらの各手法の特質を理解した上で駆使することにより,解剖(形態)学的および生理(動態)学的な多くの情報が得られ,診断に寄与する.表に肥大型閉塞性心筋症を例にとり,得られる情報を整理して示した.
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