今月の主題 大腸疾患診療の新時代
よくある大腸疾患:日常診療の視点から
炎症性腸疾患—今日の標準的診断と治療
朝倉 均
1
1新潟大学医学部・第3内科
pp.1550-1554
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901047
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炎症性腸疾患には,潰瘍性大腸炎,クローン病,腸結核,Behcet病,単純性結腸潰瘍,虚血性大腸炎,抗生物質起因性大腸炎,大腸アメーバ症,アフタ様大腸炎(大腸リンパ濾胞増殖症),キャンピロバクターや細菌性赤痢などの細菌性腸管感染症,エイズに伴う腸症,放射線照射性大腸炎,深在性嚢胞性大腸炎Mucosal prolapse syndromeなど多数の疾患がある.これらの疾患の患者は,便通異常(下痢,血便,粘血便,時に便秘),腹痛,腹部不快感,発熱(微熱から高熱まで)を愁訴として来院してくる.ここで問診による病歴の聴取と診察が行われる.
消化器疾患の診断を進めるに当たっての基本となる検査には,糞便検査,有熱患者では細菌培養検査,一般血液検査,画像検査,生検,および直腸指診がある.とくに痔疾患などの肛門部病変の診断には,直腸指診は欠かせないものであり,クローン病診断のきっかけともなることがある.
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