今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
痴呆へのアプローチ
器質性痴呆の種類と特色—脳血管性痴呆
廣瀬 源二郎
1
1金沢医科大学・神経内科
pp.2047-2050
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900531
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脳血管性痴呆は,かつては高齢者にみられる痴呆のうち,いわゆる脳動脈硬化症に基づく後天性の痴呆に対し使われていた.しかしHachinskiらが単なる脳動脈硬化だけでは痴呆の病態を呈さず,むしろ大小の多発性に生ずる梗塞が痴呆の病因となるとして,Multi-infarct dementia(MID:多発梗塞性痴呆)なる概念を提唱して以来,MIDと同一の概念で使われることが多い.
一方,1990年4月のStrokeに発表されたNINDSのClassification of CerebrovascularDisease III(脳血管障害分類III)において,はじめてVascular dementia(血管性痴呆)が臨床的疾患の1つとして分類された.そのなかで多発性梗塞は痴呆をきたしうるが,単一の小梗塞では痴呆の原因となりにくいと説明しており,このVasculardementiaはおそらくMIDを意味すると考えられる.しかしここでは,脳血管性痴呆をもう少し広い意味で血管性痴呆としてとらえ,特殊型も含めて説明する.
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