増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
症状からみた内科エマージェンシー
28.昏睡
早川 功
1
1川崎市立井田病院・神経内科
pp.1760-1764
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900445
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意識を正常に保つ中枢神経機構として,延髄・橋・中脳・視床下部・視床にまたがり存在する脳幹網様体賦活系(Reticular Activating System)と,自律神経の調節や大脳辺縁系(Limbic System)に関与する視床下部調節系(Hypothalamic Controlling System)とが互いに関連し合い,最高中枢である大脳皮質を賦活することが重要とされている.したがって,この3つのいずれかの部位が障害されても,昏睡に至るまでの意識レベルの低下が起こり得ると考えられる.
3-3-9度方式(Japan Coma Scale;JCS)による意識レベルの分類法(表1)1)によれば,昏睡とは,III桁の高度な意識障害,すなわち深昏睡(Deep Coma,300点),昏睡(Coma,200点),半昏睡(Semi Coma,100点)をさしている.本項では,昏睡に至る1歩手前のJCS II桁である昏迷(Stupor,30点)を含む意識障害を呈する患者を診察するときの,ベッドサイドでの症候学を中心とした病態のイメージ,評価,鑑別診断につき述べることとする.各種疾患の検査・治療の詳細については,重復するため他項を参照されたい.
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