増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
症状からみた内科エマージェンシー
27.失神
小林 祥泰
1
1島根医科大学・第3内科
pp.1756-1758
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900444
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失神(Syncope)とは,一過性の全脳虚血により一時的に意識を失う現象であり,一般的には数秒から数分で回復するものをいう.起立性低血圧などによるものでは,倒れれば脳血流が回復するので意識障害が数分以上続くことはまずないが,心原性などでは失神から昏睡まで連続的な変化として考える必要がある.また一過性意識障害ではその持続時間を正確に知ることは難しいことが多く,救急の場では低血糖昏睡など代謝障害も含めた広義の意味での鑑別が必要である.
失神の救急といっても受診時には意識が回復していることが多いので,救急処置というよりも,生命の危険がある疾患に基づくものかどうかを鑑別することが最も大切である.
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