Japanese
English
腎臓シンポジウム
腎性昏睡
Renal Coma
塩川 優一
1
,
林 欣二
1
,
山口 毅一
1
Yuichi SHIOKAWA
1
,
Kinji HAYASHI
1
,
Kiichi YAMAGUCHI
1
1順天堂大学第一内科
1The first clinic, Internal Medicine, Juntendo Univ.
pp.198-203
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200478
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緒 言
腎性昏睡(Renal coma)とは腎機能不全が原因となつておこつた昏睡状態の意味である。腎機能の低下は所謂腎機能不全又は腎不全(Renal insufficiency)であつてこの時血液中に尿成分其他の異常物質が蓄積しその結果窒血症(Azote—mia)がおこる。窒血症は最初特別な症状は呈しないが,次第に古来尿毒症(Uremia)として総括される症候群を呈するに至る。尿毒症の諸症状は全身の各臓器に見られるが,特に中枢神経系において最も著しい。この際脳神経症状として2つに大別される。1つは中枢神経系の抑制(Dep—ression)であり,1つは興奮乃至機能亢進(Hyperexcitability)である。前者に属するのは無関心,筋力低下,昏迷,昏睡であり,後者に属するのは腱反射亢進,筋肉攣縮,痙攣である。腎性昏睡はこの前者に属するものであるが両方向に症状はしばしば合併して来り容易に分離することは出来ない。いずれにせよ腎性昏睡は腎機能不全の最後に到達する症状であつて一般に非常に重篤なる状態であるから古来注目されている。
一方内科において日常見られる昏睡を主症状とする疾患は非常に多いしその原因は決して1つに帰することは出来ない。しかしかかる状態を種々の方面より探究してこの重篤且つ顕著な症候群を解明することは広く試みるべきである。
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