特集 腎疾患—エキスパートへの質問で学ぶ診療のキホンと最新情報
よく出会う糸球体疾患の治療の実際
ネフローゼ症候群に対する生物学的製剤の治療の適応と効果について教えてください
勝野 敬之
1,2
1愛知医科大学腎臓・リウマチ膠原病内科
2愛知医科大学メディカルセンター腎臓・リウマチ膠原病内科
キーワード:
微小変化型ネフローゼ症候群
,
頻回再発型
,
ステロイド依存性
,
膜性腎症
,
リツキシマブ
Keyword:
微小変化型ネフローゼ症候群
,
頻回再発型
,
ステロイド依存性
,
膜性腎症
,
リツキシマブ
pp.1533-1537
発行日 2021年9月10日
Published Date 2021/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227799
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Point
◎ネフローゼ症候群は,大量の尿蛋白漏出と低蛋白(低アルブミン)血症を特徴とする症候群である.急性腎障害を呈する症例も多く,浮腫,脂質異常症,血栓症,易感染性などさまざまな病態を合併する.
◎ネフローゼ症候群はステロイド治療を基本とするが,易再発性,依存性および抵抗性によるステロイド積算使用量の増大が懸念される.またシクロスポリンの長期使用による腎毒性も問題点である.
◎頻回再発型/ステロイド依存性の微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)に対し,リツキシマブは再発回数の減少やステロイドおよび免疫抑制薬の減量を可能とする.
◎膜性腎症に対するリツキシマブの寛解導入効果が臨床試験などで報告されており,治療選択肢の一つとなりうる.
◎ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ治療は,長期的な治療戦略や安全性など今後明らかにされるべき点も多い.日常臨床においては,保険適用にも留意して診療に当たる必要がある.
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