Japanese
English
特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅱ.糸球体疾患
1.微小変化型ネフローゼ症候群
Minimal change nephrotic syndrome
飯島 一誠
1
Iijima Kazumoto
1
1兵庫県立こども病院
キーワード:
微小変化型ネフローゼ症候群
,
遺伝的要因
,
液性因子
,
自己抗体
,
podocytopathy
Keyword:
微小変化型ネフローゼ症候群
,
遺伝的要因
,
液性因子
,
自己抗体
,
podocytopathy
pp.26-31
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000991
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1 病因・病態
遺伝的要因
これまで微小変化型ネフローゼ症候群(minimal change nephrotic syndrome:MCNS)を含む特発性(一次性)ネフローゼ症候群の発症には,免疫異常や感染症,遺伝的背景などさまざまな要因が関与していると考えられてきた。先天性ネフローゼ症候群やステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の一部では,すでに多くの病因遺伝子が同定されており,単一遺伝子病として認識されている1)。一方,小児の特発性ネフローゼ症候群の80%以上を占め,組織学的には大半がMCNS(minor glomerular abnormalities)である小児ステロイド感受性ネフローゼ症候群(steroid-sensitive nephrotic syndrome: SSNS)においては,最近まで,遺伝的要因はほとんど不明のままであった。2018年に,小児SSNSを同一家族内で発症している非常に稀な家系に注目し,全エクソーム解析でRhoファミリー低分子量G蛋白質の活性調節経路に関連する6つの新規病因遺伝子群が同定されたが2),SSNS患者の大半は,上記の遺伝子群の変異を有さず,その病因は不明であった。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.