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Bedside Teaching
トルバプタン
Tolvaptan
石川 三衛
1
San-e Ishikawa
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科
1Department of Medicine, Jichi Medical University, Saitama Medical Center
pp.79-84
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101871
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はじめに
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)や浮腫性疾患などによる低Na血症の大部分は水利尿不全によるもので,アルギニンバソプレシン(AVP)の分泌亢進が病態形成に深く関与する.過剰に分泌されたAVPは腎集合尿細管細胞の血管側細胞膜のAVP V2受容体に結合後,cAMPを介してアクアポリン2(AQP2)水チャネルを動員し水の再吸収を促進させる1).AVPによる持続的な抗利尿作用の結果,細胞外液量が増加するが体内のNa含量はほとんど変化がみられないため希釈性低Na血症が招来される.このようにAVPは体液調節の律速因子となるので,AVPの分泌あるいは腎作用を調節できれば低Na血症の治療は画期的に進展する.
トルバプタンは,腎集合尿細管でのAVPの受容体結合を特異的に阻害して水利尿を引き起こすAVP V2受容体拮抗薬である.
本稿ではトルバプタンの構造・薬理作用とともに,水利尿不全の病態に対する有効性についてこれまでに得られている知見を紹介する.
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