連載 いま知りたい 胃炎の診かた・3
胃癌のリスクを考えた胃炎の診断
井上 和彦
1,2
,
久本 信實
2
,
春間 賢
3
1淳風会健康管理センター
2淳風会旭ヶ丘病院
3川崎医科大学総合医療センター総合内科2
pp.162-166
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224577
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わが国の胃癌の年齢調整死亡率は低下してきているが,胃癌罹患数や胃癌死亡数は決して減少しておらず,横ばい状態が続いている.現在,悪性新生物のなかで罹患数は2位,死亡数は年間約5万人と3位であり,今後20〜30年間の胃癌対策は重要である.胃癌発生において,Helicobacter pylori(H. pylori)感染は必要条件と位置づけられ,それに伴う進展した胃粘膜萎縮や高度の胃粘膜炎症は高リスクと考えられる.従来,胃X線検査による胃癌検診は胃癌を疑う直接所見や間接所見があるかどうかだけを見ていたが,最近ではH. pylori感染胃炎の有無も含め判断するように変化してきた.
本稿では,胃癌発生リスクを考慮した胃炎診断について内視鏡所見と血清診断について概説する.
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