書評
—林 清二 監修 倉原 優 著—COPDの教科書—呼吸器専門医が教える診療の鉄則
早田 宏
1
1佐世保市総合医療センター呼吸器内科
pp.23
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224541
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倉原優先生のブログは,文献量とその質の高さから,呼吸器内科医では知らない人がいないくらいである.このたび,その倉原先生による『COPDの教科書─呼吸器専門医が教える診療の鉄則』が出版された.COPDの患者は重症度,呼吸困難感の訴え,合併症によってさまざまな臨床像を示し,診療に当たっては個別化が必要である.
複雑なことを難しく書くことは誰にでもできるが,わかりやすく述べることは容易なことではない.多様なCOPDの診療を詳しく書けば書くほど,〈COPDの本質〉を見失いがちになる.一方,単なるガイドラインの解説だと実際の患者像から遠く離れてしまう.本書は,読み物という体裁を取ってはいるが,〈COPDの本質〉を極めている優れた医学書である.文献の英語原著論文の数からもわかるように,最新のエビデンスを基盤に,おそらく著者が出会った一人ひとりの患者から得られた実体験が,その内容に反映されている.
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