連載 いま知りたい 胃炎の診かた・2
H. pylori感染を考慮した胃炎分類—シドニー分類から京都分類まで
鎌田 智有
1
,
高尾 俊弘
1
,
春間 賢
2
1川崎医科大学健康管理学
2川崎医科大学総合内科学2
pp.2242-2245
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224524
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H. pylori感染が原因となる疾患
H. pylori菌が胃粘膜に感染すると,好中球浸潤を伴う慢性の活動性胃炎が起こり,長期経過にて萎縮性胃炎,腸上皮化生へと誘導される.この組織学的胃炎をベースに,胃癌,消化性潰瘍などの上部消化管疾患や,特発性血小板減少性紫斑病などの消化管以外の疾患が発生する.2009年に日本ヘリコバクター学会から『H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版』が発表され,2013年には「H. pylori感染胃炎」に対する除菌治療が新たに保険収載された.これらは今後の胃癌予防を図るうえで非常に重要な意味をもち,2016年の第22回日本ヘリコバクター学会において上記ガイドライン2016改訂版が報告された.
除菌治療を行う際には胃癌の除外のほか,胃炎の診断が必要となるため,さまざまな内視鏡所見からH. pylori感染の有無を診断すること,その内視鏡所見から胃癌の発生リスクを評価することが重要になる.そのためにも理解しやすい簡便な分類で,内視鏡所見からH. pylori感染動態を診断できる胃炎分類の作成が急務であった.
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