連載 いま知りたい 胃炎の診かた・1【新連載】
胃炎とは?—最近の考え方
春間 賢
1
,
末廣 満彦
1
,
鎌田 智有
2
1川崎医科大学総合内科学2教室
2川崎医科大学健康管理学
pp.2020-2023
発行日 2016年11月10日
Published Date 2016/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224477
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胃炎とは?
その原因と病態
最近,ようやく胃炎に対する考え方が整理された.胃炎は臨床経過により急性胃炎と慢性胃炎に分けられる.一般に「胃炎」とは慢性胃炎を意味し,以前は,①胃X線や内視鏡で萎縮や過形成,あるいはびらんなどの所見から診断する形態学的胃炎,②胃痛や胃もたれなどの自覚症状から診断する症候性胃炎,③胃生検や切除胃の組織所見から診断する組織学的胃炎,さらには,診断や治療を行うための保険病名としての慢性胃炎が混同して用いられていた(図1)1).
かつて内視鏡所見から診断する胃炎は自覚症状をきたすと考えられ,これが多くの防御因子増強薬やH2受容体拮抗薬の胃炎に対する臨床治験に進んだ.また,内視鏡的胃炎や組織学的胃炎の原因,胃痛や胃もたれなどの自覚症状が起こる原因が明らかでなかったため,胃炎に対する臨床研究は,胃炎の内視鏡分類を除き,長く停滞していた感がある.その後,non-ulcer dyspepsia[現在は機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)]の概念が確立され,その成因も解明されつつある(図2)1).さらには組織学的胃炎の主因がHelicobacter pylori(H. pylori)であることも明らかになった.また,内視鏡で診断される胃炎は,慢性的な自覚症状を引き起こすものではないことがわかり,胃炎に対する考え方は明確になった.
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