増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗リン脂質抗体
家子 正裕
1
1北海道医療大学歯学部内科学分野
pp.430-432
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223337
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検査の概要
抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody:aPL)は,動静脈血栓症や妊娠合併症を主症状とする抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid antibody syndrome:APS)の診断的検査であるが,近年はaPL自体が独立した血栓症のリスクファクターとして考えられている.aPLはリン脂質-リン脂質結合蛋白複合体に対する自己抗体であり,酵素免疫法(ELISA)で測定されるELISA-aPLと,リン脂質依存性凝固時間の延長で検出されるlupus anticoagulant(LA)がある.APSの診断的検査所見としては,ELISA-aPLの抗カルジオリピン抗体(aCL),抗β2-glycoprotein Ⅰ抗体(aβ2 GPI)およびLAである.近年,次世代のAPS診断的検査としてホスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)がある.aCLはELISA-aPLのスクリーニング的意味合いがある.aβ2 GPIはAPSの臨床症状によく相関する.aPS/PTもAPS臨床症状にきわめて強い相関を示す.
一方,本邦にはβ2 GPI依存性aCL(β2 GPI-aCL)というELISA-aPL検査がある.aβ2 GPI-aCLは保険収載があるので,保険収載のないaβ2 GPIに代わって測定されることが多い.aβ2 GPIの測定結果とは若干異なる.
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