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従来の臨床検査に求められていた「病態を診断するための検査」に加えて,「治療選択のための検査」が日常診療で重要になってきている.2003年に国際ヒトゲノム計画が完了して以降,病態がゲノムレベルで解明されるようになった.癌分野では,癌の増殖・進展に不可欠と考えられるドライバー遺伝子変異が発見され,その変異を標的にした分子標的薬の開発が進展してきた.一方,変異を検出する診断薬は,分子標的薬の対象となる患者を選択するために必須である.米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は2011年7月14日にコンパニオン診断薬に関するドラフト・ガイダンスを発表し,コンパニオン診断薬の使用目的を①ある治療薬が最も有効と予想される患者の同定,②重篤な副作用のリスクが高いと予想される患者の同定,そして③投与計画や投与量の変更,そして治療の中止を決定するための治療効果のモニタリングの3つとした.2014年8月には,ガイダンスとして確定し,発表した.一方,わが国では,2013年7月1日付で厚生労働省医薬食品局審査管理課長からコンパニオン診断薬の定義や承認審査に係る留意事項が通知された.コンパニオン診断薬の定義は,FDAのドラフト・ガイダンスで示された使用目的と同じ内容である.同年12月24日には独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長名でコンパニオン診断薬および関連する医薬品に関する技術的ガイダンスが公表され,2014年2月19日には厚労省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知によって,コンパニオン診断薬の製造販売承認申請に際しての留意点が示された.米国に3年遅れで未完成ではあるが,わが国でもコンパニオン診断薬に関する承認審査の基準が整備された.
本稿では,コンパニオン診断薬とそれを用いる検査の現状と課題について述べる.
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