増大特集 病態バイオマーカーの“いま”
Ⅴ.がん
がん個別化医療におけるコンパニオン診断薬
登 勉
1
Nobori Tsutomu
1
1小山田記念温泉病院小児リハビリテーション科
キーワード:
コンパニオン診断薬
,
個別化医療
,
precision medicine
,
complementary diagnostics
Keyword:
コンパニオン診断薬
,
個別化医療
,
precision medicine
,
complementary diagnostics
pp.478-479
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200526
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2015年1月,オバマ米国大統領は一般教書演説でPrecision Medicine Initiativeを提案した。この演説では,precision medicineは,治療の成功率を改善するために,分子レベルでの病気の分類と共に患者個人のゲノム情報を考慮して治療することと定義された。そして,短期的には,より良いがんの治療法の開発と提供が目標とされた。Precision medicineはpersonalized medicineとも表現され,後者は個別化医療と訳されて多くの文献で使用されている。従来の治療戦略(one-size-fits-all approach)では,病名に基づく治療が実施されているが,治療の奏効率は低く,かつ有害事象の発生も増えることになる。一方,個別化医療戦略は,病気を分子レベルで分類し,患者のゲノム情報を基に最適な治療法を選択することであり,高い奏効率と重篤な副作用の回避が期待できる。個別化医療が最も進んでいるのは,がん治療分野であるが,他の疾患や分野にも拡大することが予想される。がん個別化医療におけるコンパニオン診断薬について,臨床応用の現状と課題について述べる。
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