連載 失敗例から学ぶプレゼンテーション患者説明から学会発表まで・9
ビジーなスライド
竹本 文美
1
,
植田 育子
2
,
田中 雅美
3
,
八幡 紕芦史
4
1独立行政法人地域医療機能推進機構東京城東病院内科
2慶應義塾大学医学部循環器内科
3津田沼中央総合病院病理センター
4国際プレゼンテーション協会
pp.184-188
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223048
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聴き手の評価はいい加減?
あなたは医学生に「ネフローゼ症候群」の講義をすることになった.そこでコンピュータのスイッチを入れ,パワーポイントを立ち上げた.しばらく考えた後で,季節に合わせて桜の花をあしらった背景を選んで文字を打ち込んだ.そして,医学書・雑誌を参考にしながら次々とスライドを作った.治療のアルゴリズムと細胞などの図や写真は,インターネットからコピーしたり,本からスキャンしてスライドに取り込んだりした.かなり枚数も多く充実した内容のスライドができあがった.
当日は用意したスライドを投影し,自信をもって講義を行った.ところが,終盤にはスライドの枚数が多かったことと,1枚の情報量が多かったため,予想以上に時間がかかり,最後は早口になってしまった.何枚かのスライドはすっ飛ばして,眼にもとまらぬ早業で最後のスライドまで行き着いた.「ビジーなスライドで申し訳ありませんでした」と言い,時間通りに終えた.最後は駆け足だったものの,充実した講義ができたと満足した.ところが,ふと学生のほうを見ると,なにやらよそよそしい態度で教室から出て行った.
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