増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
111.グアニジノ化合物
石崎 允
1
1仙台社会保険病院・腎センター
pp.1894-1895
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222800
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●腎疾患とグアニジノ化合物(GC)
尿毒症病態発現と血中メチルグアニジン(MG)濃度との関係は,Giovannettiらにより動物実験で証明されて以来,わが国でのGC測定法の画期的な開発,とくに中島らの酵素法の開発がなされ,慢性腎不全の病態解明の手段として使用されつつある.MGはそれ自体強力なUremic Toxinであるが,青柳らはクレアチニンから活性酸素,なかでもヒドロキシル・ラジカルの存在でMGが異常産生されるとした.すなわち,MGの測定により,慢性腎不全患者の活性酸素の動態を把握することが可能である.とくに血中MG値とクレアチニン値の比は,長期透析患者の適性透析の指標として,その重要性がクローズ・アップされてきた.
つぎに,腎機能の良好な腎疾患患者でも,尿細管障害の程度によりグアニジノ酢酸(GAA)の尿中排泄量が減少する.GAAも白兼らの酵素法による測定法が開発され,大量の検体処理が可能になった.従来の腎機能の指標として使用されてきたクレアチニン・クリアランスや尿中NAGでは,腎炎などの病態把握ができない場合があったが,尿中GAA排泄量を測定することにより,その低下で腎組織障害の存在が示唆される.
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