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I.はじめに
先天性代謝異常症は遺伝子の異常によって酵素蛋白に異常をきたし,物質代謝が障害された疾患である。したがって,その酵素の基質となる物質の蓄積と,酵素により生成されるべき物質の欠乏をきたす。代謝異常によって蓄積された中間代謝産物が組織に障害を与える場合は,その物質の蓄積を予防するような特殊食餌を与えて,症状の発現を阻止するか,蓄積した物質を積極的に除去するような楽剤を投与して治療する。有害な中間代謝産物の蓄積を予防するための食餌療法としては,フェニールケトン尿症に対する低フェニールアラニン食およびメープルシロッフ尿症に対する低ロイシン,イソロイシン,バリン食などがある。また,有害な物質を積極的に除去するための薬物療法としては,ウイルソン病に対するペニシラミン療法などがある。また,代謝異常によって生理的に重要な物質の生成が障害され,そのために症状が発現することがあるが,このような場台は,生成が障害されている物質を投与して治療する。そして,このような補充療法としては,単純型先天性副腎皮質過形成に対するコルチゾール療法などがある。しかし,このような治療が無効な疾患も多く,有効な治療法のない先天性代謝異常症に対して,臓器移植や直接酵素を与えて異常な酵素を補ない治療しようとする試みがあるが,まだ抗原抗体反応によって重篤な副作用を生ずる危険があるなどによって,広く使用されるには至っていない。
Abstract
A program of newborn mass screening for inborn errors of metabolism has since 1977 been conducted by The Ministry of Health and Welfare in Japan with great success in preventing mental and physical handicaps in children and estimating the incidence of these diseases in our country as follows : phenylketonuria (PKU) 1/60, 117 maple syrup urine disease (MSUD) 1/673, 309 his-tidinemia 1/8, 112 galactosemia 1/140, 272.
There are some genetic variants of each of these diseases, PKU, MSUD and others. Cir-cumspection is therefore required in making a diagnosis or selecting a particular method of treatment.
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