増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
尿検査
10.尿クレアチン,クレアチニン
酒井 紀
1
,
小倉 誠
1
1東京慈恵会医科大学・第2内科
pp.1646-1647
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222699
- 有料閲覧
- 文献概要
クレアチンは,グリシン,アルギニン,メチオニンの3種のアミノ酸から合成される.腎においてtransaminidaseにより,グリシンとアルギニンからグアニド酢酸が形成され,次に肝臓においてmethyltransferaseにより活性メチオニンからメチル基が転位されクレアチンが生成される.クレアチンの98%は筋に存在し,CPK(CreatinPhosphokinase)によりクレアチン燐酸の形で高エネルギー燐酸結合を保持することにより,筋肉運動に必要なエネルギー代謝において,重要な役割を果たしている.クレアチニンは,クレアチンからの非酵素的な脱水により生成される(図).
クレアチンおよびクレアチニンは,いずれも腎臓から排泄される.腎糸球体で濾過されたクレアチンは,通常近位尿細管においてほとんどが再吸収される.その排泄閾値は約0.6mg/dlであり,血中濃度がそれ以上になった場合に,明らかなクレアチン尿が出現する.一方,クレアチニンは腎糸球体を自由に通過するが,尿細管で再吸収も分泌もされず尿中に排泄される.このため血中クレアチニン濃度が上昇するのは,主に腎排泄機能が低下した場合である.なお,クレアチニンはクレアチンから,毎日ほぼ一定量生成されるため,尿中排泄量は筋肉量に見合った量と考えられる.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.