増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
尿検査
9.尿ポルフィリン体
高阪 彰
1
1名古屋大学医学部・臨床検査医学
pp.1644-1645
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222698
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●異常値を示す疾患
ポルフィリンは環状のテトラピロール化合物であり,骨髄の赤芽球系細胞と肝細胞において図に示すようにグリシンとサクシニルCoAを母体としてヘモグロビンやミオグロビンを形成して行く過程で産生される中間物質である.ポルフィリン体とは図のポルフォビリノゲン(PBG)からプロトポルフィリン(PP)までの中間物質を総称しているが,ウロポルフィリノゲンやコプロポルフィリノゲンは自動酸化され,それぞれウロポルフィリン(UP),コプロポルフィリン(CP)として測定される.δ-アミノレブリン酸(ALA)もポルフィリン体に含めて呼ぶこともある.
ポルフィリンは400nmで励起され強い赤色螢光を発するので検出にも利用される.個々のポルフィリン誘導体は水に対する溶解性が異なっており,PBG>UP>CP>PPの順で水によく溶ける.最も水溶性の低いPPは胆汁に排泄されるが,CPは尿中にも一部は排泄される.UPとPBGはほとんどが尿に排泄される.したがって,尿ではPBG,UP,CP,糞便ではCPとPP,赤血球ではUP,CP,PPが主な測定対象となる.
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