臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
I.尿検査
11.尿クレアチン,クレアチニン
置塩 達郎
1
,
大森 清彦
2
1大阪府立成人病センター臨床検査科
2渡辺橋クリニック
pp.1646-1648
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216115
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異常値を示す疾患
クレアチンは,腎でglycineから合成されたglycociamineが肝によってmethyl化を受けて生合成される.血行によりその98%が骨格筋に運ばれ,約1/2がクレアチン燐酸として活性化され筋収縮力源となる.筋肉では常に一定ペースでクレアチンは非可逆的に脱水されてクレアチニンが生成され,ただちに血中に放出,まったくの老廃物として腎糸球体から排泄され,尿細管での再吸収・分泌はみられない。一方,クレアチンもその腎排泄閾値は低く,容易に排泄され,産生に対してもfeedback機構が働くといわれ,血中濃度は高くなりにくい.
臨床でみられる疾患時の尿中クレアチン,クレアチニンの排泄量の異常は表のごとく,通常3つのタイプに分けられる(I,II,III).これらの異常の大部分は神経・筋疾患であり,また代謝異常が筋に及んだ場合である.腎障害,肝障害では主に尿クレアチニンが減少する.筋異常の反映としては,血中および尿中クレアチン上昇,クレアチニン減少のパターンを示し,しかも上記排泄動態よりして,腎障害が高度でない限り,その増減は血中レベルとしてより1日尿排泄量として増幅される,したがって,クレアチン,クレアチニンの日常検査では,腎障害時を除いては尿中排泄量の測定の意義が大きい.
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