増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
尿検査
8.尿ビリルビン
高阪 彰
1
1名古屋大学医学部・臨床検査医学
pp.1642-1643
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222697
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●異常値を示す疾患
赤血球が網状内皮系で破壊されると,ヘモグロビンのポルフィリン環が開環してビリルビンとして循環血液中に流出する.ビリルビン分画とその性質を表1に示す.非抱合型ビリルビン(Bu)は水に非常に溶けにくいため血中では血清アルブミンと結合して肝に運ばれ,肝細胞でグルクロン酸と抱合し,水可溶性の抱合型ビリルビン(Bc)として肝内および肝外胆管を経て十二指腸に排泄され,その一部は腸肝循環により再び血中に戻る.肝・胆系に閉塞があると,大量のBcが血中に逆流し,血中濃度は高くなるが,血清アルブミンとBcと相互作用によりアルブミンと共有結合したビリルビン(デルタビリルビン,Bδ)1)が血中に漸増する.ジアゾ法でビリルビンを測定すると間接型ビリルビンはBuに対応するが,直接型ビリルビンはBcとBδの和に近位する.これらのビリルビン分画のうち尿中に排泄されるのは主としてBcのみであり,アルブミンと強く結合しているBδやBuが尿中に排泄されることは少ない.
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