増刊号 尿検査法
II.各論
8.ポルフィリン体
ポルフィリン体
大門 真
1
,
佐々木 英夫
1
1山形大学医学部第三内科
pp.120-123
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901090
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
尿ポリフィリン体はポルフィリンの前駆物質であるδ-アミノレブリン酸(ALA)とポルホビリノゲン(PBG),およびウロポルフィリン(UP),コプロポルフィリン(CP)の4種が主なものである.これらは図1に示したヘム合成経路の中間物質(ALA,PBG)およびその代謝産物(UP,CP)であり,尿中に主に排泄され,ヘム合成の盛んな造血系と肝の異常で増加を示す.尿ポルフィリン体は健常者では微量であり,増加した場合はすべて病的と考えられる.尿ポルフィリン体の増加する疾患を表1に示したが,著増を示した場合はポルフィリン症か鉛中毒であり,他の疾患では軽度の増加にとどまる.
ALAとPBGは無色であり,これらが増加しても尿の色は原則として変化しないが,PBGは放置すると酸化されて褐色のポルホビリンとなるため尿の褐色調を強める.UPとCPは紫赤色であり,増加すると尿を特有のブドウ酒色にする(ポルフィリン尿).尿ポルフィリン体が多ければその色により肉眼でも判断できるが,種々の定性法および定量法にてその増加を確認しなければならない.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.