臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅰ.尿検査
19.尿ポルフィリン体
佐々木 英夫
1
Hideo Sasaki
1
1山形大学医学部・第3内科
pp.2120-2121
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219340
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■異常値を示す疾患
尿ポルフィリン体は前駆物質であるδ-アミノレブリン酸(ALA)とポルフォビリノーゲン(PBG)およびウロポルフィリン(UP)とコプロポルフィリン(CP)の4種が主なものである.ALAとPBGは無色であり,原則として増加しても着色しないが,PBGは放置すると酸化されて褐色のポルフォビリンとなるため尿の褐色調が増す.UPとCPは紫赤色であり,増加すると尿は特有のブドウ酒色を呈する.尿ポルフィリン体は健常者は微量であり,増加した場合はすべて病的と考えてよい.尿ポルフィリン体の増加する疾患を表に示したが,著増を示すものはポルフィリン症と鉛中毒に限られ,他の疾患は軽度の増加にとどまる.
尿ALAはすべてのポルフィリン症と鉄芽球性貧血,鉛中毒などで増加するが,著増を示すものは発症期の急性ポルフィリン症(急性間歇性ポルフィリン症AIP,異型ポルフィリン症VP,肝性コプロポルフィリン症HCP)と鉛中毒である.軽症鉛中毒では尿ALAが赤血球プロトポルフィリン(PP)とともに診断の手がかりとなる.尿PBGの増加は肝性ポルフィリン症の全部と溶血性貧血,鉄芽球性貧血,鉛中毒などであるが,著増を示すものは発症期の急性ポルフィリン症全部と重症鉛中毒である.中でもAIPは寛解期でも尿PBGが増加しており,その検出がスクリーニングに役立つ.
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