今月の主題 膵・胆道疾患の臨床
膵疾患診療のポイント・アドバイス
膵仮性嚢胞,真性嚢胞,嚢胞腺癌
富士 匡
1
,
佐々木 敏行
1
,
野口 隆義
1
,
竹本 忠良
1
1山口大学医学部・第1内科
pp.1322-1324
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222612
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膵嚢胞とは膵実質内および膵外に大小種々の大きさの単発または多発に形成された嚢胞と定義される1).今日では本疾患は腹部超音波やCTで容易に描出され,また1cm以下の小さな膵嚢胞も偶然発見されている.一方で,内視鏡的逆行性膵管造影(以下,ERP)で描出される主膵管や分枝膵管の部分的な拡張をも本疾患に含めるか否かといった新たな問題も提起され,本疾患の定義に根本的な見直しが迫られている2).
ところで,膵嚢胞は嚢胞壁内に上皮細胞を有する真性嚢胞と,これを欠く仮性嚢胞に分けられるが,画像診断だけでは真性か仮性かの区別をつけることが灘しい症例も少なくはない.したがって,膵嚢胞は画像診断で鮮明にとらえられてはいるものの,その病態については,ERPをはじめとする膵の診断法を駆使して,十分に把握したうえで認識されるべき疾患であるということができる.
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