画像診断
腎腫瘍との鑑別を要した膵仮性嚢胞
森末 浩一
1
,
川端 岳
1
,
山中 望
1
,
久保田 晋
2
,
滝 吉郎
2
,
坂野 茂
3
1神鋼病院泌尿器科
2神鋼病院放射線科
3神鋼病院外科
キーワード:
膵嚢胞
,
腎腫瘍
Keyword:
膵嚢胞
,
腎腫瘍
pp.600-603
発行日 1993年7月20日
Published Date 1993/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900996
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患者 53歳,男性。
主訴 左側腹部痛,発熱。
既往歴 十二指腸潰瘍。
家族歴 特記すべきことなし。
現病歴 1992年5月25日,左側腹部痛および38.5℃の発熱にて近医受診し,腹部エコーにて左腎に腫瘤を指摘され当科受診となった。
現症 左側腹部痛および37.4℃の発熱,左季肋部に圧痛をみるが筋性防御は認めなかった。
検査所見 血液学的検査では軽度の貧血以外特に異常を認めず,血液生化学検査では軽度の肝機能障害と炎症所見を認めた。血清アミラーゼ値は正常であった。尿検査では異常を認めなかった。
入院後経過 腹部エコー(図1),CT(図2),排泄性腎盂造影(図3)より左腎から発生した腫瘍が疑われた。しかし,血管造影検査(図4)では,腎の圧排所見のみで腎腫瘍は否定的であったため,逆行性膵胆管造影検査(ERCP)(図5)を行った。ERCP直後のCT(図6)にてこの嚢胞性病変の全体にERCP時の造影剤が貯留していることが確認されたことから,膵仮性嚢胞と診断された。
手術所見 脾臓,膵仮性嚢胞および膵尾部,腎被膜がそれぞれ強固に癒着しており,腎被膜の一部を含めてこれを一塊にして切除した(図7)。病理組織学的所見では膵管の拡張と周囲部に慢性炎症の所見と肉芽反応を認めた。
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