特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
9.膵・脾
膵仮性嚢胞—胃吻合
森 俊幸
1
,
杉山 政則
1
,
跡見 裕
1
Toshiyuki MORI
1
1杏林大学医学部第1外科
pp.347-348
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903415
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適応
膵仮性嚢胞は,急性膵炎もしくは慢性膵炎の増悪時に膵実質の壊死から膵管の破綻をきたし,膵液が漏出するようになり,炎症が鎮静化した後にも漏出が持続し,貯留膵液の周囲に反応性の線維性被膜を形成したものである2).膵仮性嚢胞は約20%の症例で自然退縮し,そのほとんどは嚢胞形成後6週以内に起きると報告されている1).膵仮性嚢胞には感染,破裂,出血などの合併症があり,これら合併症の累積発生率は嚢胞発生後0〜6週で21%,7〜12週で46%,13〜18週で60%,19週以降で67%と,経過観察期間の延長に伴いその頻度を増してくる.このため,自然消退が期待できない発生後6週以上経過した嚢胞を成熟嚢胞と称し,合併症の頻度増加を考慮し治療の対象とする.
膵仮性嚢胞の外科的治療法には嚢胞—消化管吻合,外瘻術,膵切除などが施行されるが,嚢胞が胃後部に存在する場合には嚢胞—胃開窓(吻合)術が適応となる2).
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