今月の主題 内科エマージェンシー
疾患からみた内科エマージェンシー
消化器疾患
急性肝不全
与芝 真
1
,
竹内 ゆかり
1
,
関山 和彦
1
1昭和大学藤が丘病院・消化器内科
pp.1229-1233
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222582
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急性肝不全とは,ウイルス性や薬剤性の劇症肝炎,妊娠性脂肪肝,Reye症候群など肝細胞の急激な壊死変性に基づき,急速に肝不全症状に陥る病態である.欧米では薬剤性の頻度が高いが,日本は大半がウイルス性劇症肝炎なので,本稿では主としてウイルス性劇症肝炎について述べる.
現在わが国の劇症肝炎の治療法は血漿交換(PE),インスリン-グルカゴン療法(G-I),特殊組成アミノ酸療法で,普及率はそれぞれ80〜90%である。それでいて,昭和62年の厚生省難治性肝炎班会議による全国集計の生存率はわずか16.2%でしかない.このような治療が普及する前の生存率が約12%であったことを想起すると,これらの治療にどれほどの効果が期待し得るか,きわめて疑問である.
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