神経疾患診療メモ
筋緊張性ジストロフィー症—診断は内科医・外科医の責任
豊永 一隆
1
1沖縄県立中部病院・神経内科
pp.1064-1065
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222526
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筋緊張性ジストロフィー症は成人の筋疾患のなかでは比較的多くみられ,罹病率は10万人あたり2〜5人といわれている.本症に特徴的な筋萎縮の分布(顔面・頸部・四肢遠位優位の筋萎縮)やミオトニアについてはテキストにも詳しく書かれており,診断は容易であると思われがちである.ところが実際には,あまりにも教科書的で典型的な患者であるのに正しく診断がなされていない場合が驚くほど多い.
その理由はよくわからないが,本症が神経内科と内科のはざまにある疾患であることが理由かも知れない.すなわち,神経内科学のテキストでは,筋萎縮やミオトニアの存在は強調されるが,他臓器の合併症について記載はあるものの,実際に患者の多くが合併症を主訴として受診することは書かれてはいない.一方,内科学のテキストでは,心臓をはじめとして諸臓器の障害については記載してあるが,やはり主体は筋肉疾患として取り扱われている.
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