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はじめに
今日の分子生物学の進歩はめざましく,原因遺伝子が不明である遺伝性疾患へのアプローチにも大きな変革をもたらした。その方法の一つは,家系分析などによりまず原因遺伝子座位を決定し,次に原因遺伝子を単離し,遺伝子の機能を解析するとともに,最終的に病因を解明する,いわゆる"reverse genetics"である。Duchenne型性ジストロフィー症と網膜芽細胞腫の原因遺伝子がこの方法で単離され,その遺伝子産物であるジストロフィンとDuchenne型筋ジストロフィー症や,RB遺伝子産物と網膜芽細胞腫との関係についての研究が現在進められており,将来は治療に結びつくものと期待されている。ところが大部分の遺伝性神経・性疾患については,原因遺伝子の座位も決定されていない。
筋緊張性ジストロフィーについては,白人家系を使った連鎖分析により原因遺伝子座位は第19染色体長腕に決定されたが,遺伝子そのものは単離されていない。現在,世界の諸施設で原因遺伝子の単離に向けて研究が進められているが,私たちも厚生省神経疾患研究委託費,「筋ジストロフィー症の疫学,病態および治療開発に関する研究(班長西谷裕)」の共同研究者として,分子遺伝学的手法でその原因遺伝子を単離し,さらに病因の解明を行なうべく研究を進めている。
Myotonic muscular dystrophy (DM) is an autosomal dominant disorder with an incidence of approximately 5 per 105 of the population both in Caucasian countries and Japan. It is manifested by myotonia, muscle wasting, cataract, hypogonadism, frontal balding, and mental retardation mostly in the second or third decade of life. The DM gene has been unknown. It has been reported that the gene responsible for Caucasian DM is tightly linked to polymorphic DNA markers on the pericentro-meric region of the long arm of chromosome 19 (Shaw, et al.: Hum Genet 70: 271, 1985).
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