今月の主題 内科医のための他科疾患プライマリ・ケア
精神科
不安・神経症
武市 昌士
1
1佐賀医科大学・精神医学教室
pp.736-737
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222427
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●概説
不安は一般診療科を受診するすべての患者にみられると言っても過言ではない.
一般診療科では,不安は診察室や待合室にいる患者が抱く不安などの許容できる正常範囲のものから,身体的侵襲が大きい検査や手術前後の不安,医師患者関係のもつれにより生じる不安,病名告知などの医師が引き起こす不安,臨死場面における不安など,あらゆる状況において不安はみられるため,治療の対象となる不安にはどのようなものがあるのか,さらには不安のもつ役割とその対処法を理解することが大切である.例えば,不安のもつ役割として,家族や職場における葛藤が無意識あるいは意識的に不安症状を引き起こし受診の動機となる場合,重症疾患にみられる不安は症状の存在を否定し,受診を躊躇させる結果,治療が手遅れになる場合など,不安のもつ役割はあらゆる場面で重要となる.
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