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研究と報告
不安神経症における不安についての二,三の考察—医師の不安神経症例の検討
A Few Consideration given to Anxiety observed in Anxiety Neurosis: Case Studies of Physicians with Anxiety Neurosis
鈴木 知準
1
,
熊野 明夫
2
C. Suzuki
1
,
H. Kumano
2
1鈴木知準診療所
2東京大学医学部小石川分院神経科
1Suzuki Chijun's Hospital
2Dept. of Neuro-psychiat., Koishikawa Branch Hospital, School of Med., Tokyo Univ.
pp.789-795
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200899
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I.はじめに
神経症は主観的体験世界における障害であり,神経症における不安の研究は,主として神経症者自身の内省観察をもとにしてなされねばならない。医師は職業がら,自己の肉体および精神状態に関する観察と内省は,一般に他の職業の人たちよりすぐれていると考えられるので,医師の神経症例は多くの示唆を含んでおり貴重である。心臓・呼吸器症状を呈する不安神経症においては,その症状の成立・固定化の要因に関して,操ら1)は医因性因子を強調し,塩入2)は医因性因子と同時に患者の側の受け取りかたに問題があるとしている。いずれにせよ医因性因子の関与が大であることは明らかであり,医師の不安神経症例における医学的知識と不安症状の発展・固着との関係,さらにその解消経過は興味深い。
不安神経症を経験し,鈴木のもとで入院森田療法を受け,退院後6〜7年を経過した3人の医師(内科医2名,産婦人科医1名)の症例につき検討し,上記の諸点に主眼をおいて考察を行なつた。
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