消化器疾患診療メモ
腹部エコー検査は胆石症の診断において絶対的か?—新しい医療テクノロジーの功罪
上野 文昭
1
1東海大学大磯病院・内科
pp.1650-1651
発行日 1988年9月10日
Published Date 1988/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221854
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A君は卒後3年日の内科研修医です.2年間内科全般をみっちり勉強し,今年から主として消化器内科を専攻し,多くの患者を診ながらいろいろな消化器系の検査も次第にできるようになってきました.A君がとくに興味をもっているのは腹部エコー検査でした.詳細な病歴をとってもまったく分からないような胆石を,いとも簡単に,かつ無侵襲にみつけてしまうこの検査は本当に素晴らしいものだと思っていました.
ある晩,その日の当直医である1年目の研修医B君から,救急外来の患者の腹部エコーを頼まれました.症例は上腹部痛,黄疸にて来院した70歳女性です.発熱,嘔気,嘔吐もあり,緊急検査では白血球増多の他,アルカリ・フォスファターゼなどの胆道系酵素の上昇が著明な肝機能異常を認めました.A君もB君の急性胆嚢炎/胆管炎という診断に賛成し,早速腹部エコー検査を行うことにしました.
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