診療余話
画像診断の進歩と功罪
伊丹 康人
1
1(財)日本股関節研究振興財団
pp.1242-1243
発行日 1994年11月25日
Published Date 1994/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901494
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●片山先生のことば
今から45年程前,足かけ8年程にわたる戦地の野戦病院,陸軍病院の勤務を終え,命だけは助かって,もといた慈恵医大の整形外科教室に戻ってきた頃,一日も早く骨・関節のX線写真の読みに精通したいと,日曜日ごとに,外来のX線写真を持ち出して,片山良亮教授の御自宅(鎌倉)まで伺って,教えて頂いた事がある(片山先生には大変迷惑な事だったと思います).その時の教授のお言葉は,私にとって,X線写真読影についての,一生忘れることが出来ない金言でした.
「君,正倉院というのがあるだろう,そこに書画を本物か偽物かを鑑定する人がいるんだ.実はその鑑定師は,この書家の字はどうの,この画家の筆法はどうのと長年研究を重ねて,その結果に基づいて,本物か偽物かを決めるというものではないんだよ.小学校しか出ていない人が,10年15年本物の書画を毎日毎日見ているんだ.すると,偽物を見せられたとき,これはおかしいと直感する.それから,ではどこが偽物かを詳しく見わけていくんだ.
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