扉
医療報道におけるマスコミの功罪
西澤 茂
1
Shigeru NISHIZAWA
1
1産業医科大学脳神経外科
pp.663-664
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100776
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およそこの世に生を受けて毎日健康に生活を送っている人でも,自らの健康問題に関心を抱かない人はいないだろう.まして,何らかの病をかかえた人にとっては,自らの病気のこと,治療法のこと,どこでだれがどんな医療を行っていて,その成績は如何であろうかという情報を渇望していると思う.
かつての日本の医療は大学病院を頂点としたhierarchyとして,「白い巨塔」然に極めて閉鎖的な世界の中で行われてきた.なかには浪速大学の里美脩二のようにhumanisticに患者に接した医師もいたと思われるが,所詮は少数派の辛酸をなめたことであろう.一方,財前五郎を頂点とした権力的構造が医療の現場であったにちがいない.こうした状況では,患者やその家族は医療の正しい情報に接する機会すらなく,権力的医師の説明ともつかない“指示”にただ従うほかなかったであろう.
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