検査
検査データをどう読むか
熊坂 一成
1
1日本大学医学部・臨床病理
pp.1264-1267
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221767
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症例:20歳,女性,デパート店員.主訴:腰痛.既往歴:特記すべきことなし.現病歴:7月初旬より軽い腰痛が出現,痛みは間歇性であり,あまり気にせず放置した.8月12日腰痛のため目が覚めたが,その日は出勤した.しかし夕方より疼痛が増強し,同日9:30PM,救急車で日大病院へ来院,整形外科の当直医が診察した.腰部に自発痛と圧痛を認めたが,整形外科的診察では著変を認めず.体温が37.4℃で最終月経は6月14日であることに気がついたこの医師は産科の当直医を呼んだ.産・婦人科的診察および腹部超音波では異常を認めず,腹部(腰部)のX-Pを撮影し,この2名の医師が読影したが異常はなかった.この夜,実施できた緊急検査の結果を表1に示した.当直医はこれらのデータから,この患者は緊急入院の適応はないと判断し,鎮痛剤と精神安定剤を処方し,翌日の内科受診を勧めた.内科外来受診時現症と検査成績:意識清明,体温37.0℃,血圧110/70mmHg.心音は清,異常な呼吸音,副雑音を聴取しなかった.腹部は軟で,肝,脾腫を触知せず,全身のリンパ節の腫脹はなかった.神経学的にも著変はなかった.腰痛は,いく分軽快したものの手足の軽いしびれ感,全身の関節痛などをややオーバーとも思われる表情で次々と訴える患者に対して,内科外来担当医は診断保留のまま,追加検査(表2)の必要なことを説明し,数日後に再診することを指示した.
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