今月の主題 脳卒中up-to-date
Editorial
脳卒中診療上の諸問題
山口 武典
1
1国立循環器病センター・内科・脳血管部門
pp.2486-2487
発行日 1987年11月10日
Published Date 1987/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221380
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脳卒中を診療している者にとって最も大きな悩みは,発生した脳の障害そのものを治癒させることが不可能であり,そのために外見上かなりの運動・精神機能障害を残すことになるということである.もちろん,急性期の適切な処置,全身管理およびリハビリテーションによって,救命だけでなく機能障害をより少なくすることは出来るようになったが,大部分の患者はなんらかの後遺症を残して退院することになることは避けられない.
同じ血管障害であっても心筋梗塞で一命をとりとめた場合,よほど重篤な心機能障害を残さない限り,社会的に大きなハンディキャップを背負って生きていかねばならないという事態を招くことは少ない.しかし脳卒中により,片麻痺に加えて失語症や他の神経心理学的な症候が残った場合,まず現代の社会からは取り残されることになる.
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