今月の主題 虚血性心疾患の最前線
interventional treatment
心筋梗塞に対する血栓溶解療法
上松瀬 勝男
1
,
長尾 建
1
,
佐藤 洋一
1
,
梶原 長雄
1
1日本大学駿河台病院・循環器科
pp.2388-2392
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221363
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心筋梗塞発症6時間以内に冠動脈造影を実施してみると,その70〜80%の症例では責任冠動脈の完全閉塞をみる.これは原因なのか,結果であるのか長い間論争となっている.剖検所見の結果,心筋梗塞後,時間の経過とともに冠動脈内の血栓の頻度が少なくなってくるとするものは原因だと考え,反対に時間の経過とともに血栓の頻度が増したとしたものは血栓は結果であると考えた.しかし,1980年,DeWoodらの急性心筋梗塞症例における多数例の報告により,すなわち,胸痛出現後4時間以内では81%(168/208例),12〜24時間では65%(37/57例)に完全閉塞がみられたとの冠動脈造影の成績が発表され,生体では梗塞後早期ほど血栓の頻度は高いことが定説となっている.
しかし,冠動脈造影は心筋梗塞発症後に行っているので,梗塞の原因が血栓であることを証明しているわけではない.1982年,金子らは,心筋細胞の自己崩壊説Kinetic cell deathの概念を形態学的立場から提唱している.彼らは,血栓は梗塞後二次的に形成されたものとしている.
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