今月の主題 呼吸と循環(生理検査)
検査と疾患—その動きと考え方・88
急性心筋梗塞における冠状動脈血栓溶解療法
延吉 正清
1
Masakiyo NOBUYOSHI
1
1小倉記念病院循環器科
pp.422-427
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912168
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近年,心筋梗塞発症まもない時期に,血栓溶解剤であるstreptokinaseやurokinaseを用いて閉塞冠動脈の血栓を溶解し,心筋梗塞巣を縮小しようとする治療が,欧米のみならず本邦でも広く普及している.今回は,血栓溶解療法(thrombolytic therapy)を含むPercutaneous Transluminal Coronary Recanalization;PTCRにつき,筆者の経験を中心に解説したいと思う.
本邦では,PTCRと血栓溶解療法とを,ほぼ同じ意味に用いているようであるが,少しニュアンスが違う.PTCRは急性心筋梗塞発症初期に内科的方法にて閉塞冠動脈の再疎通を行う方法全般を指し,その大部分がurokinaseまたは,strepto-kinaseによる血栓溶解療法であるが,その他nitroglycerinまたはisosorbide dinitrateによる方法,guide wireを用いる方法や血栓溶解療法後に冠動脈形成術:PTCAを行う方法も入り,これらすべてを含めたものをPTCRという.しかしながら,本邦では,急性心筋梗塞症患者の閉塞冠動脈内にurokinaseを注入し,血栓を溶解する方法をPTCRと呼んでいると思われる.
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