今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
再灌流療法
血栓溶解薬(ウロキナーゼとt-PA)
上松瀬 勝男
1
,
松田 正
1
,
梶原 長雄
1
1日本大学駿河台病院・循環器科
pp.58-59
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900018
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urokinase(UK)はplasminogenの直接的なactivatorであるが,血栓に対し親和性がないことから,血栓を溶解するためには,循環血液中の線溶能の充進が必要である.投与されたUKはplasminogenを活性化させplasminを生成するが,血中に存在するα2 plasmin inhibitor(α2PI)により失活され,血栓を溶解するに至らない.このα2PIを中和するほどのUKの投与により,すなわち,全身の線溶能の充進があってはじめて血栓は溶解される.大量のUKはfibrinogen,fibrin,種々の凝固因子を分解し,出血を生じるとされている.
一方,tissue plasminogen activator(t-PA)は血栓に親和性があることから血栓に直接作用し,血栓形成過程で取り込まれたplasminogenをplasminにすることにより血栓を溶解するとされている.したがって血中のfibrinなどの凝固因子もさほど分解させずに,それゆえ,静脈内投与でも血栓の溶解が容易とされている.
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