増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
肝疾患
140.急性肝炎の薬物治療
矢野 右人
1
1国立長崎中央病院・臨床研究部
pp.2094-2095
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221260
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急性肝炎は,原因別に分けるとウイルス性肝炎,薬剤性肝炎,アルコール性肝炎などに分けられる.また,感染の形態からは散発性肝炎と輸血後肝炎に分けられ,病態からは急性肝炎と重症型としての劇症肝炎に分けられる.わが国では急性肝炎の大部分がウイルス起因であり,A型,B型およびその他の非A非B型肝炎に分けられる.
ウイルス肝炎のうち,A型肝炎およびB型肝炎は一般に予後良好な疾患であり,普通型では特別の薬物療法をしなくとも根治する例がほとんどである.慢性肝炎への移行は,B型肝炎で幼児期の感染以外は認められない.一部重症型として劇症肝炎へ移行する.劇症肝炎移行率は,B型肝炎がA型肝炎より高い.一方,非A非B型肝炎,とくに輸血後非A非B型肝炎では遷延あるいは慢性化する率が高く,初期の治療法にかかわらず長期の病悩期間を経る例が多い.
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