今月の主題 肝炎への新しいアプローチ
慢性肝炎へのアプローチ
B型慢性肝炎再燃(schub)と急性肝炎との鑑別
矢野 右人
1
,
川口 豊
1
1国立長崎中央病院・臨床研究部
pp.845-847
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221676
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B型急性肝炎はHBウイルスに感染後平均8週より12週程度の潜伏期の後に食思不振,倦怠感,黄疸などの症状で発病する.潜伏期を観察すると発症前4週目頃より血中にHBs抗原が出現し,次第に増加している.感染ウイルスの増殖に対し,宿主の免疫応答が細胞性免疫の機序により肝細胞を破壊し,増殖したウイルスをクリアーしようとする現象が急性肝炎症状として現れる.
一方,B型慢性肝炎は原則として生涯持続するHBウイルスのキャリアーでHBウイルス量が宿主免疫応答の閾値を越える増殖があった場合,急性肝炎と同様に細胞性免疫機序で肝細胞を破壊し,HBウイルスをクリアーしようとする現象である.しかし,慢性肝炎では細胞性免疫はこれらのHBウイルス増殖を完全に排除することは出来ず,その後のHBウイルス増殖によって再度の肝機能異常を来し,このような現象を繰り返すのが特徴である.
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