Current topics
癌温熱療法
松田 忠義
1
1東京都立駒込病院
pp.1678-1686
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
温熱療法の動向
癌細胞が高温度に弱いことを明らかにし,癌患者の治療に応用した歴史は古い.しかし,有効な加温方法が見出されないまま長い間中断されていた.1960年台後半から系統的な研究が進められ,とくに10年ほど前から温熱療法の生物学および理工学の基礎研究がアメリカを中心に活発に行われ,癌治療における温熱療法の有用性の理論的根拠を明らかにしている.一方,わが国の温熱療法の研究は欧米よりも一歩遅れて始まったが,ここ4〜5年基礎と臨床の研究が活発であり,国際的水準を凌ぐ成果をあげている1).このようなめざましい発展には文部省と厚生省の研究班の指導的活躍と日本ハイパーサーミア学会の活動が大きく寄与している.この論文では温熱療法が有望な癌治療として期待できる理論的根拠と,治療成績と臨床応用の特長について,厚生省がん研究助成金松田班の共同研究成果から述べようと思う.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.