癌医療最前線 国立がんセンターにおける癌医療・10
癌の局所温熱療法
pp.1084-1087
発行日 1983年10月1日
Published Date 1983/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919957
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温熱療法(ハイパサーミア)とは,悪性腫瘍の治療に高温を利用しようとするものである.これはかなり昔から知られていた方法であり,放射線の発見,医学への利用よりも古い歴史をもっている.1866年ドイツのブッシュは,ある患者の顔の肉腫が丹毒による2回の発熱で消失したことを観察し,正常体温以上に温度を上げることによって,腫瘍細胞を殺すことができるのではないかと提案した.しかし,この提案は実際に腫瘍を有効に加温する良い方法がなかったため,長らく日の目を見なかった.
1960年後半から欧米において,温水槽,マイクロ波,超音波,磁場などを利用した温熱療法が実験的に試みられるようになった.一方,細胞や実験腫瘍レベルでの研究の結果,高温下での癌細胞の致死効果や,放射線または化学療法と併用すれば,それらの効果は増強されることなどがわかってきた.
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